第六夜

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僕の愛想なんて、まるでどうでもいいみたいに、禿はうつむいた。 本当に、一体何なんだ。 「吉田様は…… 長州のどちらの出、なんですか?」 質問の意味が、一瞬分からなかった。 この禿は、なぜ僕が長州だと知っているのだろう。 これは女将とお瀧、あとは限られた遊女しか知らないはずだ。 客本人に、こんなことを聞くだなんてあり得ないと、訝しげに禿を睨んだ。 「す、すみません。 う、う、うち。ち、長州の方で生まれたんどす。 よ、吉田様が、そちらの方やて聞いて、つ、つい……」
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