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折檻が待っていると思っていた私は、拍子抜けだった。
吉田様が、帰ってしまったことを咎められると思ったのに、何事もなく夜は明けた。
吉田様が、何か言ってくれたか、金を多めに置いていったか、そんなところだろう。
ほんとうに、優しい人。
私には、そんな価値はないのに。
ぼんやりと外の通りを眺めていると、こんな早朝なのにも関わらず、見回りをしている新撰組の人たちが見えた。
私には関係ない。
そう思い、窓を閉める。
昨夜、温められることのなかった蒲団を片付けるため、禿を呼ぼうと襖に近づいた。
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