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「新八っつぁんに、文を出せ。」
「は?」
「謝れ。
また来て欲しいと、文を出せ。」
この男は、自分が何を言っているのか分かっているのだろうか。
「何で、あなたにそんなこと…」
「出せ。
新八っつぁん、アンタに袖にされてから、元気が無いんだ。
……出せよ?」
出さなければ分かっているな、と言う風に、また腕を捻られる。
脅しているつもりなのかと思うと、笑えてきた。
こんな力だけの男に、私は絶対屈しない。
思い切り、男の向こう脛を蹴った。
瞬間、男の力が弱まった隙に、腕を振り払い、通りに飛び出した。
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