第七夜

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まだ目覚めていない街に、人通りは無かったが、男は追ってこない。 薄暗いその場所から、鋭く目を光らせていた。 私は慌てて廓へ戻り、私室に駆け込んだ。 部屋では、ちょうど禿が蒲団を片付け終えていた。 「あ、お瀧ねぇさん。」 振り返った禿に、私はつい冷たく当たってしまう。 「もう二度と、こんなことは辞めて。」 「え?」 「新撰組の客は、二度と取りません。 来ても、絶対会いません。 覚えておいて。」 「……永倉様もどすか?」 「当然です。」 黙り込む禿を振り向けば、小さな体全部で、私を睨んでいた。 掴まれていた腕も、打たれた頬も、痛みは治まらなかった。
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