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僕が角を曲がるまで、彼女はいつも見送ってくれる。
だけど、僕は振り返ったりしない。
振り返ってしまえば、もう二度と前を向いて歩けない気がするから。
僕の心をとらえて離さない彼女は、少し怖い。
こんな気持ちは、いらない。
そう思ったりもしたけど、どんなに抵抗しても、彼女に会いに行ってしまうんだから、この頃では諦めた。
だからこれは、最後の抵抗。
会いに行く。
だけど、抱かない。
だけど、振り返らない。
もう少しだけ、待って。
僕が素直に君を迎えに行けるまで。
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