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同士のひとりが、少し前に新撰組に捕らえられていたらしい。
初耳だった。
古高が言うには、彼は酷い拷問を受け、多数の長州浪士が京に潜伏していることを自白させられた。
以降、新撰組は市中警備に今まで以上に厳しくしはじめ、何人かの志士の顔や潜伏場所は、既に割れているのではないかと言う。
「……で?」
そんなことかと、嘲笑う。
そもそも、顔や潜伏場所が知られたところて、捕まらなければ、斬られなければ無意味だ。
僕がそう言うと、宮部は僕の肩を掴んだ。
「稔麿。
誰もがお前の様に、腕に覚えがあるわけではない。
捕らえられ、斬られ、拷問されれば、それだけ長州の不利になる事も自白させられるだろう。」
「………」
「それが、『そんなこと』なのか?
それが、お前が学んだことなのか?」
厳しい視線と肩を掴む手の力に、僕は何も言えなくなった。
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