第七夜

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「お前が、松陰のことを慕い、そのことで幕府を恨む気持ちは痛いほどわかる。 だが、今のお前の投げやりな生き方は、松陰の教えに反すると、俺は思う。」 宮部の言葉は、いちいち的を得ていた。 だけど、一つだけ間違っている。 確かに僕は、松陰先生が亡くなってから、かなり生に執着が無くなっていた。 いつ命を終えようとも、復讐の炎だけは消さないと、躍起にもなっていた。 それも、つい最近まで。 彼女に出会ってしまうまで。 今は違うと、違ってきていると、自分自身が感じている。 復讐の炎は消えることは無いのに、僕のなかで、確かにお瀧との未来を望む気持ちが膨らんできているのだ。 「……そうだね。 でもね、僕は死なないよ。」 心からの笑顔を見せた。 隣で驚いた顔をする有吉の頭を掴み、くしゃくしゃと髪を乱してやりながら続ける。 「僕が死んじゃったら、有吉が泣いちゃうからね。」 お瀧も、泣いてしまうよね?
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