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西暦3040年
十年前、少年だった男は青年になりました。
ある日のことです。青年が川で洗濯をしていました。
すると、どこかから、大きな桃が流れてきました。
青年はまたもやスルーを決めました。
ドタン!
いきなり家の扉が開き、中からおばあさんが出てきました。
「家から見てたけどさあ…普通そこは拾おうな?お前を拾ってから食ってく金がなくて困ってんのによ…」
おばあさんが老人らしからぬ言葉で言いました。
その言葉を聞いたとたん、青年はびくりと体を震わせ、小さな声で謝罪の言葉を口にしました。
「…あ?そう思うならさっさと拾えよ?」
おばあさんは言いました。
青年はすぐさま桃を川から拾って地面に置きました。
青年がおばあさんを見て、驚きました。
おばあさんの手には包丁が握られていたのです。
「せぃやああ!!」
ザクリ
包丁が桃に切り込みを入れました。
刹那
桃がぱっくりと割れました。
そして、中にはかわいらしい女の子がいました。
「…………え?また?」
おばあさんが落胆しました。
青年は無言のまま、驚きました。
パチッ
女の子が目を開きました。
「あれえ?♪ここはどこなの?☆」
テンションが高い声が響きます。
「ここはどこって、…川だけど?」
おばあさんの言葉を聞いて、女の子の頭はフル回転します。
「えーと、そっかあ、ボクは・・、」
ボク?
女の子なのに?
2人の頭に疑問符が浮かびます。
「つーかさ、お前は何者なんだよ?」
「わわわ☆おばあさんなのに口悪いの♪☆」
「余計なお世話なんだよ。お前も変な喋り方だろうが。」
「ぷーんだ☆この喋り方は大好きなキャラの真似なの☆♪中二病なの♪」
静寂
「あーもう☆しらけちゃダメなの♪★ …ところで今、何年なの?★」
「…たしか3040年」
おばあさんのぶっきらぼうな言葉に女の子は反応します。
「にゃ!?そんなの嘘なのーーーーーーーーーーーーーっ☆」
うざい。
2人が同じことを感じます。
「ていうかなの・・・そもそもおにいちゃんがいけないの・・・☆」
青年を指差しながら、言います。
「…おにいちゃん?」
久々に青年が会話に入ります。
「うお!そういえばお前、いたんだな!影うすっ!」
おばあさんの言葉を無視する青年。
「おにいちゃんって・・俺に妹なんて…いたの?」
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