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「君は、帰りなさい。もう遅いから……」
先生は、服部に言う。
「はい……」
下を向きながら頷く。
「ふぅ……君も辛いだろうけどね。早く思い出してくれることを祈ろうね。」
そう言うと、先生は服部の頭をほんの少し撫で、奥に行ってしまった。
「……うん」
ポケットから携帯を取りだし、電話をかける。
「白井?迎えに来て。」
そう言うと電話をきった。
――――――――――
「先生?あいつは大丈夫なんですか!?」
先生の白衣を掴む。
「大丈夫だろうねー」
「そうですか、なら、よかった……」
ふぅと安堵の息を吐く。
「君は彼女かい?」
逆に先生から聞かれる。
「いえ、そんなんでは//」
「ふふ、少し、辛いこともあるかもしれない、ね」
「え?でも、大丈夫って!」
「彼は、ね。彼が受けた衝撃はでかい。君も小説やテレビで見たことないかい?ショックで記憶が無くなるってやつだよ」
私には衝撃的すぎる言葉だった。
「もちろん、全部覚えているかもしれない。君のことだけは覚えているかもしれない……けど、逆もまたあるってことだけどね。」
「……はい」
知らない間に、涙が流れていた。
「頭の片隅に、入れといてね。なんにもないことを祈ろう。」
そう言うと、先生は奥に入っていった。
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