4#よくある襲撃

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 彼はディと名乗り、自分のことをフリーの傭兵だと言った。 「変なじーさんに言われて暇つぶしにきたが、まさか刻龍なんぞに襲われるガキがうろついてるとはな」  あれからずっと付いてくる男は、ベラベラと引っ切りなしに喋っている。  自己紹介も頼んでもいないのに、勝手にそうして喋ったのだ。 「刻龍?」 「知らねェか?  世界最強にして最悪の犯罪組織――」 「相手にするんじゃない、オーサー」  オーサーが持たされていた二日酔いの薬で、ようやく頭痛から開放された私だったが、不機嫌に幼なじみへと注意を促す。 「あんたも付いてこないで」 「そういうなよ、アディちゃん」  言われる度に自分でも顔が火照っている気がして、私は少しだけ歩く足を速める。  オーサーは着かず離れずといった具合で、一定の距離を保ってついてきているから、気が付いているかもしれない。  村で、というよりマリベルによって、人に愛されることにも可愛がられることにも慣れたし、こういう褒め言葉なんて慣れていると私は自分で思っていた。  だけど、初対面の相手に言われて、こんなに落ち着かない気分になるとは思っても見なかった。  これじゃ、全然慣れたなんていえない。 「言っておくけど、認めたわけじゃないよ?」  得体のしれなさは変わらない。  だけど、何故だろうか。  ディからは無条件に向けられる信頼だけが、私には伝わってくる。  ヨシュとどことなく似ている雰囲気のせいかもしれないな、と私はひっそりと笑みを零していた。
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