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一般に剣術士とはその名の通り、剣を主たる武器として扱う者をさす。
習い始めからある一定のレベルまでを「剣術見習い」とし、傭兵として一応の試験を通過できるものを「剣術士」と呼ぶ。
「俺の腕程度じゃたかがしれてるぜ。
世の中にゃ、もっと強ぇのがごまんといるんだ」
剣術士の中でも特に秀でた者を「剣術使い」と呼び、世界中でも多いときに十人いるかいないか程度しかいない。
一応、剣術使いにも通例の試験はあるが、形ばかりのものだ。
私もオーサーもディの腕前を目の当たりにしているだけに、それは冗談にしか聴こえない。
「刻龍以外にも?」
「……それはしらねぇがな」
苦笑が返ってくる。
「オーサーは札士か?」
言ってもいないのによくわかったものだ、とオーサーと目を丸くすれば、簡単なことだとディは種明かしをしてくれる。
「剣を使えば剣だこが出来ていたり、多少なりとがっしりとした手になる。
だが、魔法を使うヤツは手に怪我が出来てもすぐに直せるからな、怪我がねぇ。
魔法使いの作った札を使うやつは魔法使いより切り傷が多いんだ」
魔法を使う者というのはそう多くは無い。
昔――百年程度前であれば、今よりは五倍位の力と人数がいたらしい。
今では神官以外で魔法を使うものというのは希少で、いくら旅をしているからといっても知っているのは珍しい。
剣術士と同じく、魔法使いも魔法見習い、魔法士、魔法使いの三段階に分類される。
そして、彼らが魔力を込めた札を使うことが出来るの者を「札士」と呼び、こちらは魔法を使うものよりは少し多い。
これは札士と札使いの二段階のみで、二つの違いは自分で札を作って使えるかどうかの一点だけだ。
「で、おまえは?」
「おまえじゃない、アディだ」
私がぐっと拳を突き出すことに納得する辺りも、見てきた世界が違うのだろうと推測できる。
「拳闘士か」
大抵の者は武器(主に剣)を使ったり、魔法(これは素質が必要)を使った戦闘方法に特化する。
だが、武器に対して無手で挑むを美徳とする者達を拳闘士と呼ぶ。
私は少々特殊な理由があるものの、これを主とした戦闘を得意としている。
「まだまだ見習いだけどね」
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