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獣たちが散り、襲撃者がすべていなくなった後でがくりとディは膝をつく。
それに私は大きく口を開けて、欠伸をしながら答えた。
「いやよ。
私は誰かを頼るような弱い女になんかなりたくなんかないわ」
「アディはもう十分強いよ」
「てか、何で拳で戦わねぇんだ?」
バァカと私が笑った見せると、男二人は不思議そうに、不満げに私を見た。
「勝てない勝負に拳で挑むわけないでしょ」
どこか妙に渇いた笑いを溢す二人をおいて、私は町の方へと足を向けて歩き出す。
白み始めた空が夜の終わりを告げ、昼の女神の加護を伝える。
そうなれば、闇に生きる者たちは容易に悪事を働けなくなる。
つまり、町中に入ってしまえばある程度の安全は確保される。
安全云々は建前として、すでに眠気で限界を超える私の足は速い。
しかし、所詮は女の足だ。
男二人にとっては普通に歩くのとあまり変わらないのか、すぐに追い付いたオーサーが隣に並び、ディが逆隣の半歩後ろを歩く。
構わずにミゼットの町へと風を切って入る私たちを追い越し、荷物を積んだ幌馬車が追い越してゆく。
その風に煽られたのか、私の背中で踊る髪が誰かに持ち上げられるように動き、落ちた。
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