6#よくある道具

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 獣たちが散り、襲撃者がすべていなくなった後でがくりとディは膝をつく。  それに私は大きく口を開けて、欠伸をしながら答えた。 「いやよ。  私は誰かを頼るような弱い女になんかなりたくなんかないわ」 「アディはもう十分強いよ」 「てか、何で拳で戦わねぇんだ?」  バァカと私が笑った見せると、男二人は不思議そうに、不満げに私を見た。 「勝てない勝負に拳で挑むわけないでしょ」  どこか妙に渇いた笑いを溢す二人をおいて、私は町の方へと足を向けて歩き出す。  白み始めた空が夜の終わりを告げ、昼の女神の加護を伝える。  そうなれば、闇に生きる者たちは容易に悪事を働けなくなる。  つまり、町中に入ってしまえばある程度の安全は確保される。  安全云々は建前として、すでに眠気で限界を超える私の足は速い。  しかし、所詮は女の足だ。  男二人にとっては普通に歩くのとあまり変わらないのか、すぐに追い付いたオーサーが隣に並び、ディが逆隣の半歩後ろを歩く。  構わずにミゼットの町へと風を切って入る私たちを追い越し、荷物を積んだ幌馬車が追い越してゆく。  その風に煽られたのか、私の背中で踊る髪が誰かに持ち上げられるように動き、落ちた。
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