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先程までの余裕気な穏やかさを棄てて、神官は言った。
「一度、大神官様にお会いください」
その様子に、オーサーと二人で眉を潜め、顔を見合わせる。
「そりゃ、あなたにわからなきゃ、いい加減に大神殿へ検査に行かなきゃ行けないのはわかってるよ」
ここみたいな小さな神殿には、常駐している神官はいない。
この神官のように不定期に修行している神官を待つ他は、近くの神官の常駐している神殿に行かなければ系統診断(ルーティスト)を受けることはできない。
だから、次を待つか、神官のいる神殿へ向かわなければいけないのだけれど、これまでの経験から一番力のある大神殿へ行かなければならないことは、私だってわかっていた。
「でも、なんでわざわざ言うの?」
考えなくたって、他の誰もがわかっていることだったから、あえて言う必要も無いことだ。
そのあとの神官の言葉で私とオーサーは、彼に対しての警戒を強めることになる。
「これは僕の憶測かもしれませんが、」
神官はそこでひとつ息をついて、まっすぐな瞳と同じく、まっすぐな言葉を使った。
「アデュラリア様は、今代の女神の眷属かもしれないのです」
* * *
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