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私の背中を軽く、オーサーが叩く。
落ち着かせるように自分に私の身体を引き寄せてくれる。
「神官様、アディは女神の眷属じゃないです」
私の代わりに、私の言葉を代弁してくれる優しい幼なじみに、私は素直に身体を預けた。
「アディは僕の大切な家族なんです。
女神の眷属なんて、そんな言葉でアディを惑わせないでください」
不安になるたびにこうして私を落ち着かせてくれるオーサーは、私にとっても大切な家族だ。
だからこそ、私も言わなきゃいけない。
オーサーから身体を離し、神官を真っ直ぐに見つめる。
「私は、女神の眷属じゃない。
あなたみたいな三流神官が系統診断(ルーティスト)に失敗したぐらいで、決め付けないで」
踵を返し、今度こそ私がオーサーを連れて、小さな風化の激しい石の神殿を出ようとしても、もう神官は何も声をかけてこなかった。
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