呼び出し

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「おはよう、咲。生還おめでとう!」 「おはよう、優希。笑顔で何言ってんのさ――。僕怖かったよ」 「よしよし」 「う――」 翌日の教室内での会話。 優希は朝から元気だった。 一方自分はというと、理沙が夢にまで出てきて、ぐったりしている。 夢は記憶の整理中に見るんだとか、そんな話を聞いたことがある。 ならば彼女の印象は、それ程強く自分の中に残ったという事ではないだろうか。 優希に頭を撫でられながらそう考えた。 「おはよう、咲」 「おはよう、徹」 徐々にクラスに人が集まり始める。 今日もまた一日が始まる。 気持ちを切り替えなければ。 深呼吸だ。 ……深呼吸とか考えると、ラマーズ法が浮かんでくるのはどうしてだろう。 咲が考え込んでいる間に、なんと授業は始まっていた。 机に何も出ていないことを注意され、小さく反省した。
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