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「じゃあ、呼ばなくても一緒にお昼食べてくれるのね!?嬉しい!」
「いえ、そうじゃなくて」
「分かっているわよ。私から迎えに行けばいいのよね。じゃあ毎日お昼に教室に迎えに行くから」
ギュッと突然抱きしめられ、咲の思考は暫し停止した。
駄目だ、この人日本人なのに言葉が通じない。
「あの、そういうの本当に困るんですけど」
「今の顔」
「へ?」
「今の困ったような表情、可愛い!ちょっと杉谷、カメラ持ってきて!」
どうやらまた撮られるらしい。
というか張り紙の写真はどうやって手に入れたのか。
彼女についての謎は解けないが、今なすべきことは思考じゃない。
咲は脱兎のごとく逃げ出した。
その夜にもメールが届いた。
『照れ隠しはしなくていいのよ?もっと、もっと私に甘えてね。あと、私の事は呼び捨てでいいよ。愛を込めて呼んでね』
無理です。
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