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「ああ咲君、おはよう。通学路で会うなんてこれも運命ね。さあ、一緒に行きましょう」
「は、はい」
朝から会うなんて最悪だ。
両手を広げて、さあ来いといった状態の理沙をかわし、咲は肩をおとした。
道路の端を歩きながら、理沙はべたべたと咲を触ってくる。
変態~~!
ゾクゾクッと体が震え、鳥肌がたった。
「どうして僕にかまうんですか」
ぼそりと泣きそうになりながら、咲は言葉を発した。
それに理沙は一瞬キョトンとして、その後ニッコリと笑った。
その笑顔に、咲は見とれた。
ドキドキと胸が高鳴るのが分かる。
これは仕方のない事なのだ。
何故なら、彼女は黙っていれば美人なのだから。
理沙の綺麗な髪が風に揺れる。
「だって、好きだから」
そう言われた時、少しだけ……。
本当に少しだけ、嬉しかった。
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