普通の友達

6/6
前へ
/62ページ
次へ
「理沙、さん」 「何?咲君」 「とりあえず、普通のお友達からでお願いします」 「!?」 咲はそう言って僅かに笑った。 理沙の顔があっという間に輝いていくのが分かる。 「いいですか?“普通のお友達”からですよ?」 咲の言葉に、理沙はコクコクと頷いた。 その目から急に涙が溢れた。 ど、どうしてそうなる!? 咲はハンカチを彼女に渡した。 「嬉しい。咲君!」 理沙が泣きながら言う。 どうやらうれし泣きのようだった。 「毎日メールしていい?電話は?」 「いいですよ」 「杉谷!ちょっと聞いて杉谷!」 理沙は杉谷に駆け寄り、その手を掴んでピョンピョンとはねた。 そして何やら話してニッコリ笑っている。 笑顔になってくれて、嬉しいだなんて。 咲は自分に呆れてしまった。 そして、これからくる彼女との“普通の友達”としての生活が、何だか楽しみになっていた。 「私、絶対咲君と結婚する!」 その言葉を聞くまでは。 やはり、彼女の愛は重すぎた。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

350人が本棚に入れています
本棚に追加