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「理沙、さん」
「何?咲君」
「とりあえず、普通のお友達からでお願いします」
「!?」
咲はそう言って僅かに笑った。
理沙の顔があっという間に輝いていくのが分かる。
「いいですか?“普通のお友達”からですよ?」
咲の言葉に、理沙はコクコクと頷いた。
その目から急に涙が溢れた。
ど、どうしてそうなる!?
咲はハンカチを彼女に渡した。
「嬉しい。咲君!」
理沙が泣きながら言う。
どうやらうれし泣きのようだった。
「毎日メールしていい?電話は?」
「いいですよ」
「杉谷!ちょっと聞いて杉谷!」
理沙は杉谷に駆け寄り、その手を掴んでピョンピョンとはねた。
そして何やら話してニッコリ笑っている。
笑顔になってくれて、嬉しいだなんて。
咲は自分に呆れてしまった。
そして、これからくる彼女との“普通の友達”としての生活が、何だか楽しみになっていた。
「私、絶対咲君と結婚する!」
その言葉を聞くまでは。
やはり、彼女の愛は重すぎた。
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