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「150しかないなんて嫌だ」
「そんな事言うてもな――」
「杉谷さんも170くらいあるし、僕もそんな風になりたい。だって格好いい!」
「どうして急にそんな事……」
そんな悩みを昼休みに相談した相手は、先に生徒会室にいた杉谷さんだった。
彼は少し考えるようにしてから、ハッと顔をあげる。
そしてニヤリと嫌な笑みを浮かべた。
「会長も170以上やしな。隣に並ばれたら、そりゃあ気になるわ」
「なんとかしてください」
「会長が縮むしかないやろ」
「む――」
そんな事出来るわけがないのに、と杉谷さんを睨みつけた。
自然と見上げる形になるのが、とても悔しい。
自分は小さい。
そして杉谷と会長は大きい。
二人に挟まれると、捕まった宇宙人みたいになる。
歳は一つしか違わないのに、そこに大きな差があるなんて嫌だった。
それが諦められない理由だ。
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