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突然現れた第三者に挙動不審になる警官に目を配り、なるべく笑顔を繕い、明日拓は警官に話し掛ける。
「彼は僕の友達の拓海ですが、何か問題を起こしたのでしょうか、」
「……えっ、あ、…いや、夕刻に一人で彼が出歩いていたものですから、少し話を聞こうと思って…」
明日拓の完璧な笑顔に捕らわれていた警官は、はっと自分の責務を思い出してつらつらと成り行きを説明し始めた。
明日拓は問答無用で警官に合いの手を打つ。
「拓海は高校時代から一人で夕刻に出掛けるのが好きでした。水面に反射する夕陽が美しいと言っていましたが、誰も相手にしていなかった。少し趣向が渋いんです。でも僕は彼の事を素敵だと思っていました。僕も拓海も成人しているし、この時間に出歩いているのは何も不審ではありませんよね。」
「………そう、です…けど、」
明日拓の拓海だ弁解に警官は息を飲んだ。
しかし警官は最後に言う。
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