第四章

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      階段を上り、鍵を開いて、玄関を潜った。明日拓の自宅はマンションの二階。左から二番目。1SLDK。間取りに不満は無い。隣はどちらもいないから静かでいい。浴室も化粧室もあって家賃5.5万円。築年数もそんなに経っていないし、これで日がもっと当たれば完璧。 「ただいま、」 「タダイマ」 「うん、ただいま」  居間の扉を開けると聞こえてくる囀り。此処は動物の飼育は禁止だけれど、こっそり飼っているオカメインコの囀りだ。  すばやくカァテンを閉めて、窓を開け、電気を付けた。明日拓は来客に、テェブルの近くに座布団を拵えて、その上に腰を降ろすように促した。  腰を降ろした事を確認して、明日拓は彼に祖茶を用意してテェブルに置くと、自分もそのわきに腰を下ろした。  彼はの目は祖茶ではなく、オカメインコの籠に向かっている。     
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