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「大学とか、行ってたりするんですか」
柚子は首を横に振る。
「そう…、なら、僕と同じだ。僕も高校卒業してからすぐ就職したから。来年国家試験を受けます、」
感心した様に此方を伺う柚子が、明日拓はこの時だけ少し幼く見えた。
「柚子はなにが好きですか、」
自分の事を一つ言ったら、相手の事も一つ聞く。これは明日拓の初対面に対する決まりだ。
柚子は迷うことなく文字を書いた。
『本』
「へぇ、本か…暇が無くてなかなか読めないけど、好きです、僕も、」
そう言って、明日拓は急に活字を大量に読みたくなってきた。脇にあるテェブルに肩肘を付いて、どんなジャンルを読もうかと考え込む。頭はもう図書館だ。
それを見ていた柚子は、再び何かを書き出した。
明日拓はそっと覗きこむ。やっぱり彼の字は端正だなぁ、なんて思った。
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