第四章

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    『ノートと  少しのインクを  下さいませんか?』  その要求に、明日拓は寛大に頷いた。 「ノートはありませんが、コピー用紙ならあちらに大量に。」  明日拓は電話の近くを指差す。 「インクは…ボールペンで良かったら、それを使ってください、」  柚子の持っているボールペンを指さして言った。柚子はこくりと頷く。 『ありがとう』  そう走り書きした後、柚子はコピー用紙を取りに立ちあがった。二、三枚拝借して、此方に戻ってくる。 「何に使うんですか、」  不思議そうに明日拓が言うと、柚子は言われる事を予測していた様に微笑む。 『仕事、  貴方も仕事をするように、  俺も仕事です、』  明日拓は首を傾げて眉間に皺を寄せた。  それを見た柚子は、大きく笑うとさらさらと文字を書く。     
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