第二章

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      「で、君は何処から来たの」 青年は黙っていた。 青年は地面に視線を向けながら、自分の前を横切る蟻の、規則正しく並ぶ列を見て、砂糖をあげたくなった。 「…僕の話、聞いていますか」 「………」 先程から身元を確認しようとしている通りすがりの警官は、段々と腹が立ってきた。 「どうして何も喋ら無いんだ」 「……」 青年はただ、黙っていた。 黙って空を見上げた。 風が吹く。     
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