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この世の万物はみな、言葉を喋る。
「じゃあ、君、一応保護しておくから、一緒に来なさい」
掴まれる腕を青年は振り払って、再び黙り込んだ。
押さえつけようと、警官が一歩前に踏み込んだ。
「…」
警官は列を乱した。
乱れた蟻の列は、混乱して、持っていた花弁を落として逃げた。
靴の跡には、蟻が五匹、潰れて死んでいる。
「……」
青年は黙っていた。
いよいよ腹を立て始めた警官は、青年に罵声を浴びせる。
それでも、青年は黙っていた。
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