第二章

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      この世の万物はみな、言葉を喋る。 「じゃあ、君、一応保護しておくから、一緒に来なさい」 掴まれる腕を青年は振り払って、再び黙り込んだ。 押さえつけようと、警官が一歩前に踏み込んだ。 「…」 警官は列を乱した。 乱れた蟻の列は、混乱して、持っていた花弁を落として逃げた。 靴の跡には、蟻が五匹、潰れて死んでいる。 「……」 青年は黙っていた。 いよいよ腹を立て始めた警官は、青年に罵声を浴びせる。 それでも、青年は黙っていた。     
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