第三章

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      避けて通ろうと思ったものの、道は細く、避けるには一声かけて道を開けてもらうしか無さそうだった。  明日拓は気だるそうに一つ溜め息を付き、二人の会話を聞こうと耳をそばだてた、が、聞こえてくるのは警官の野太い声だけだ。それが相手の質素な青年の声で無いことは明白で、何故なら声と共に警官のシルエットが大きく揺れるからだ。 「処理に困るんだ。君は何もしゃべらないし、掴んだ手は退けられる。僕はどうしたらいいんだ。このまま無視は出来ないんだよ」  ブツブツと文句を言い続ける警官に、青年はただじっと俯き、なんの反応も示さない。それは遠目から見ると警官の小言に一方的に付き合わされている青年としか見えず、明日拓は青年が少し可哀想に思えてきた。  しばらく様子を伺い、明日拓は首の骨をならすともう一度大きな溜め息を付き、流ちょうの皮を被って二人の元へ歩き出した。     
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