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「これは旅の者、よくこんな村まで来て下さいました」
「この村の先の森に、伝説の剣があると聞いてな」
「はい、確かに伝説の剣は、この村でも代々話し継がれております。ですが、森はとても茂っているうえに広く、奥へ立ち入るのは危険なので、私たちは手前までしか行ったことがなく、実際に剣を見た者はおりません」
「ふむ、だが今までに、俺のように剣を求めてここにやってきた輩はいくらでもいるだろう。そいつらはどうしたんだ」
「それが…森の奥へ行きましたが、帰ってきた者は誰一人としていません」
「森の中で力尽きた…ということか。あの森は、そんなに険しいのか」
「ええ。なにしろ、コンパスは効かない、猛毒を持った動物もいますし、夜は真っ暗になってしまいます。それゆえ私たちは、森へ行く者はみな引き止めるのですが、剣を手に入れるんだ、と誰も聞いてくれませんでした」
「なるほどな…では俺は、ひとまず村人から森についてより詳しい情報を収集することにしよう」
そう言って冒険家は村内を回った。
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