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「一つだけなら良いですよ」
眠い目を擦りながら、副操縦士が右手でリンゴを差し出している。
「寝ぼけてないか?」
操縦桿を握っていた男が、そう副操縦士に言うと―。
「・・・はっ!」
副操縦士はリンゴを右手に持ったまま周囲を見回し―。
前方斜め右下の滑走路が視界に入ると、寝ぼけていた目を見開いた。
「失礼しました・・・」
ゆっくりと手に持っているリンゴを下ろしながら、そう副操縦士は言った。
「気にするな」
そう言いながら男はフラップの操作レバーを動かし、決められた着陸用の手順を行っている。
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