プロローグ

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〈スペリオン〉の発展型として目下開発中なのが、ジノが自ら設計を行った〈ガーゴイル〉である。 ジノはワンオフの機体を造りたいワケではないのだが、強力な機体性能を求めるほど、資金が必要になり、量産は難しくなっている。 全長25メートル前後。赤い巨大な装甲が全身を包み込む。大型バーニアによる機動性を確保し、ガーゴイルキャノン・長距離レーザー砲を装備。新開発されたビーム・ソードも、ジノとしては楽しみな武装のひとつであった。〈スペリオン〉の火力不足を補い、かつそれ以上の機体性能を得るという目標や期待がこの〈ガーゴイル〉にはあった。 ジノの軍の階級としては中尉だった。名門のお坊ちゃんとして与えられた階級ではなく、自ら掴みとったものである。 この階級はジノの自信となっていた。 しかしながら、戦場で直接戦ったことのないジノにとって、試作機〈ガーゴイル〉の完成は楽しみであるけれど、反面、真価が自分ではわからないというのが実情だった。 本当は、ジノ自身が実際に〈スペリオン〉や〈ガーゴイル〉に搭乗し、戦場でその機体性能を思う存分、体感したいと思っている。 自分は死ぬ危険が少ない、と安堵しながらも、テストパイロットだけでは飽きたらず、実際に稼動させ、操縦したい、という気持ちもあったのだ。
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