第一章

9/14
前へ
/16ページ
次へ
雑草だらけの道を駆け やっと王国らしき物が見えてきた。 「アリス大丈夫? 少し休む?」 「だ…だいじょうぶです… はぁ…」 「大丈夫じゃないようだね、少しだけ休もうか。 あまり長くは居られないよ 王国周辺には トランプ達がうろついているからね。」 白兎は辺りを見回しながら 大きな木の幹に寄り掛かった。 もう 空はオレンジ色だ。 たった数時間で 私はアリスに成り切っている。 本当の名前 何だっけ? 本当の私の年齢 何だっけ? 私の住んでいた場所 何処だっけ? 私は アリス…? 頭が混乱してきた。 何も思い出せない。 白兎を追って 穴に落ちて 気づいたら不思議の国にいた。 私は 誰だっけ? 「アリス?アリス? 大丈夫? ぼーっとしてたみたいだけど」 「あぁ…。うん平気」 ガサガサッ 突然 草村から物音が聞こえた。 白兎は素早く動き 私を庇うようにして立った。 「アリス 僕から離れちゃいけないよ? 決してそこを動かないで」 「ふっふふふ… あっははははは!」 草村から出てきたのは 美形の女。 ピンク色の髪を腰まで伸ばし 左手に剣を持っていて ダイヤのマークを頬につけた女。 きっと 白兎や仮面の女が言う トランプというモノだろう。 .
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加