第一章

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部屋の中は帽子だらけ。 足の踏み場もないくらい 帽子で埋まった玄関。 白兎は慣れた足取りで 部屋へ上がった。 「アリス?早くおいで? 帽子は踏んじゃっていいからさぁ♪」 「おい白兎!勝手な事を言うな!」 「えー これ趣味で作ってるんだろ? 売り物じゃないんなら 踏んでも汚してもいいじゃん!」 趣味で帽子か。 帽子屋なのに売り物じゃないのか。 帽子屋の外見は 本当に人間。 現実に居ても全く変じゃない感じ。 もちろん 帽子屋だから帽子をかぶっている。 黒い帽子を深めにかぶり ギロッと切れ長な瞳を覗かせていた。 「あ.アリス!!…様。 早く上がれ!のろのろするな…いや 早くお上がりください?」 言い直した上 語尾にクエスチョンマーク。 しかもアリス様って。 帽子屋って 少し可愛いかも。 「アリスでいいよ。 帽子屋さん」 .
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