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逢いたくて
逢いたくて
声にならない声で
君の名前を
呼び続ける。
2月14日 P.M.8:23
「でねー?
…って、ねぇアレ
あんたのお兄さんじゃない?」
「ちょ、まだオチあるの!?
ん?…あ、本当だ。
また女の子達に追い掛けら、れ…」
プァプァッ
プァー…
どんっ…
「………っ!」
「嘘でしょ…って宝槻(ホヅキ)!?」
『キャアアアアアアっ!』
その瞬間
呼び止める友達の声も
泣き叫ぶ女共の声も
道路を走っていた車が止まる音も
信号機の音も
全部
私の耳には届かなくて
ただ ただ
梓(アズサ)兄の元へ私は走った
『梓くん!』
『いやああっ!』
「ちょ、通して…っ」
『何よクソガキ!退きな!』
「…あ?
退くのはあんたらでしょうがっ」
ひゅん…っ
私はまわりの邪魔な女共を
蹴り倒して梓兄の元へ進んだ
でもそれは私にとって
間違いだったのかもしれない
「あず、さ、にぃ…!?」
そこにあったのは
大型車にひかれて出来た血の海の中で
紅く、染まりきった梓兄の姿だった
「や…いやあああああっ!」
悲しくて
苦しくて
一人の夜が 怖いから
夜空 見上げて
君を探してるー…
あの夜からずっと
一人の夜は怖いまま
今でもたまに夜になると
あなたを思いこの曲を歌って泣くの
Dearを
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