壱(後編)

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屋敷へつくと仕事で忙しい筈のお父様とお母様がいた。 そして先程の執事が涙を零しながら必死にお父様とお父様に深々とお辞儀をしている。私の聞き取れた会話からはなにやら謝っているように聞こえる。 そしてお母様はちらりと横目でこちらを見て私の存在に気が付くと、恐ろしい剣幕で私の右の頬をひっぱたいた。 風船が割れるような音が響く。 じんじんと熱く痛む右の頬。 一瞬、私は何がおきたのかわからなかった。 お母様の方を向くとお母様は目に涙を溜めて私を睨んでいる。 そしてまるで叫ぶかのように、悲鳴に近い金切り声をあげて怒鳴り、二、三度再び私を強くひっぱたいた。 (―誰だろう、この人は。) 私に乱暴する修羅か羅刹のような面差しの この人は誰?
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