ラバーズハイ

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足先はもう感覚がないくらい冷え切って、このままこうして見つめ合っていたらいつしか俺はきっとただの氷になる。 混乱する思考。回路が断たれて、考えるという行為がひどく難解なものに感じる。 愛してる?誰が?奴が? 誰を?俺、を? (アイシテル、?) 奴が立ち上がり、俺に一歩近付いた。俺の身体で動くのは目と心臓だけ。 まだ、分からない、分かりたくない。愛してるって意味を、理解したら、選ばなきゃいけない。 イエスか、ノーか。俺は、決めなきゃいけない。なぁ、そうなんだろ。お前は答えを、求めてるんだろ。 頬に、触れる手。触ってんじゃねぇよ、いつもの台詞が、出ない。声が詰まる。喉が引き攣って苦しい。 気付けば唇に、温もり。やっと動いた腕を駆使して思いきり奴の頬を張り飛ばした。
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