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そんな丘の上の雲が、悪戯な風に流され揺らめいた。
不意に流された雲の切れ目から月光が降り注ぐ。
月光の降り注ぐ先には、髪を掻き分けて、木の陰から町を覗く一人の少女がいた。
そこには、女神がいたのだろうか?
その輪郭は、どんなに美しい珠であろうと嫉妬するだろう。
その声は、どんなに熟練した者が作る鈴の音でさえも、鈍く物足りなく感じるだろう。
故に少女は、女神だったのだろう。
そう、少なくとも僕にはそう見えたのだ
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