幻想の森

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 それは簡単なことでは無い。しかし難しいとは言えない。まるで針の穴に糸を通すことのように…… 「ああ、もうっ!! なんでこんなに難しいのよ!!」  彼女は机を叩きながら愚痴をこぼした。 「パソコンのタイピングは難しくはないんだけどなぁ…」  僕は机の上にあるパソコンを持ち上げ彼女から遠ざける。このままだと壊される危険性がある。 「はぁ、…もういい。その資料、あんたが打っておきなさい。わかったわね?」 「お、おい。ちょっと待て、まさかこれ全部? お~ぃ……。はぁぁ…」  彼女は返事も待たずに生徒会室から出て行った。机の上には園芸部が近隣公園の一部を借りて、そこにフラワーガーデンを造るための資料と経費、その他のファイルが積まれていた。 「……明日やればいいかな」  一人では一週間掛かっても終わらない気がするので、明日他の生徒会役員に手伝って貰おう。  僕はテキストを保存してパソコンの電源を切る。ちらりと一番上にあるプリントを見てみると 「花より木が多い……。森にするつもりかよっ」 思わずツッコンでしまった。苦笑いしつつパソコンを鞄に仕舞い、生徒会室から出て鍵を閉めた。  
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