現実的な理想

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現実的な理想

「ねぇ、あの資料打ち終わった?」 「まだ終わってない。あれは一人じゃ精神的にきついからな」  放課後、生徒会室に入ると彼女が進み具合を聴いてきた。 「それより、園芸部は公園を森にするつもりなのか?」 「? なに馬鹿なこと言っているのよ。さっさと資料を打ちなさい」  傍若無人とはまさにこいつのことだ。そもそもこの資料はこいつの仕事で僕の管轄ではないはずだ。なのにどうして…… 「なによ? 文句でもあんの?」「……別に」  彼女は自分の席に座ると洋服のカタログを見はじめた。  僕も席に座り鞄からパソコンを取り出し起動させる。そういえば、昨日のあの資料は…。  机の上にあるプリントをぺらぺらと捲る。……見当たらないな。他のプリントと混ざったかどこかに落ちているか。でも、そんなに重要な資料ではなかった気がするから探さなくてもいいか。と思いながら起動中のパソコンを見る。 「………長い…」  5分くらい待っているがまだ起動画面で一向に終わる気配がない。 「あ、そういえば今日用事があったはず。…じゃあね」  彼女はカタログを仕舞い、そそくさと生徒会室を出ていった。  ……諦めるか。と一瞬思ったがまだ時間があるので少しくらい片付けようと思い直す。ちなみに生徒会役員は僕の他に誰もいない。他の役員達はサボり気味だからね……。
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