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そいつらが混じり合いながら、俺とカズマを目指して襲ってくる。
目の前の恐ろしい光景を見て、漸くカズマも俺に対して暴れることを止め、代わりにミイラ共に向かっていってくれた。
俺も俺で階段への路を拓きながら、桃人間をもうそう呼べない事を悟る。
そんな可愛い名称じゃ、こんな醜悪な形体は表せない。
もうゾンビとかがベタだけどお手軽で適当な所か。
一気にゲーム味を増した現実は、しかしゲームの様な分かりやすい終わりなんて見えないが。
「カズマっ、来い!」
ミイラ、ゾンビ、ミイラの横並びを吹っ飛ばして声を掛けると、カズマは迷うように眉を寄せた。
良いから来いっつってんだろ!
カズマの半分くらい出掛かった手を、手首から掴んで俺は一散に崩れた段ボールだらけの階段を下りる。
カズマが何を思って俺を殴りユヅキを化け物と呼んだかなんて知ったこっちゃないが、俺はカズマを助けたかった。
それは数年来の友人を見殺しにしたら寝覚めが悪いからかもしれないし、助けてと言ってきたユヅキの願いを少しでも叶えたかったからかもしれない。
単にユヅキを置いてきた事の共犯になって欲しかっただけかもしれないが。
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