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一階は上程カオスではないが、しかし奴らが居ることに変わりは無かった。
まるで迷路の一階を縫うように進み、たまにミイラとゾンビをパイプで殴る。
殴りながら俺は、カズマがなかなかゾンビに決定打となる重い一撃を加えられなかった理由を理解した。
カズマが貧弱なのもあるが、このゾンビ共は、殴ってもその衝撃が上滑りするのだ。
ミイラを殴った音をガツッ、とするなら、ゾンビの方はブチャッ、が妥当な所だろう。
肉が、なり損ないだがクッションの役割を果たすのだ。
ゾンビは肉というか細胞の一つ一つの結合が緩くなっているらしく、少しの衝撃でも容易く分解してしまう。
その都度腐臭を撒き散らすのだけは勘弁して欲しいが、それでも動きが止まれば万万歳だ。
ミイラはミイラで、吹っ飛び易くて良いが。
ガランガランッ…!
不意討ち気味に何かに躓き、俺は不恰好に転倒した。
パイプや角材の山だ。
そう確認した途端、顔が半分剥けたゾンビが、犬の様に吠えながら襲い掛かってくる。
転んだ拍子にパイプはどっか行ってしまった為、俺は慌てて手に当たった物でゾンビを突いた。
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