AM00:23

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角材だった。 先の折れていたその角材は、尖ったその切っ先をゾンビの脇腹に刺さっていた。 ゾンビの肉汁が角材の繊維に染み込んでいく。 そのまま下に引き下ろすと、ゾンビの皮はずるずると滑り落ちた。 中から鼻が付いている事を後悔したくなるような臭いがする。 脳や内臓といった臓器は、直ぐに腐るだか傷むだかと小学生の頃に読んだ本に書いてあった。 それを証明する光景が、今正に目の前に広がり、垂れ下がっている。 これなら鉄臭い方が何倍もマシだ。 角材から手を離し、新たな鉄パイプでゾンビの膝小僧を殴打する。 立てなければそうそうは追っては来れないだろう、という自分の読みは有り難い事に当たってくれた。 矢張り犬の様に吠えて、ゾンビは後ろに後退り、よろけて他の奴らを巻き込みながらすっ転んだ。 ざまあ見ろ。 動きたがらない体に鞭打って、向こうで非力ながら奮戦するカズマの助太刀に行く。 カズマは俺より余程顔色も悪く、辛そうだ。 眼鏡の無い無防備なカズマの両目に、ミイラの細く骨張った手が伸びる。 その指を、俺は首ごとへし折ってやった。 めきめきっ、嫌な音だ。 .
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