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角材だった。
先の折れていたその角材は、尖ったその切っ先をゾンビの脇腹に刺さっていた。
ゾンビの肉汁が角材の繊維に染み込んでいく。
そのまま下に引き下ろすと、ゾンビの皮はずるずると滑り落ちた。
中から鼻が付いている事を後悔したくなるような臭いがする。
脳や内臓といった臓器は、直ぐに腐るだか傷むだかと小学生の頃に読んだ本に書いてあった。
それを証明する光景が、今正に目の前に広がり、垂れ下がっている。
これなら鉄臭い方が何倍もマシだ。
角材から手を離し、新たな鉄パイプでゾンビの膝小僧を殴打する。
立てなければそうそうは追っては来れないだろう、という自分の読みは有り難い事に当たってくれた。
矢張り犬の様に吠えて、ゾンビは後ろに後退り、よろけて他の奴らを巻き込みながらすっ転んだ。
ざまあ見ろ。
動きたがらない体に鞭打って、向こうで非力ながら奮戦するカズマの助太刀に行く。
カズマは俺より余程顔色も悪く、辛そうだ。
眼鏡の無い無防備なカズマの両目に、ミイラの細く骨張った手が伸びる。
その指を、俺は首ごとへし折ってやった。
めきめきっ、嫌な音だ。
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