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勢い余って、ミイラの両眼がぽろりと飛び出た。
半分朽ちつつも干からびた神経が繋がっているので、辛うじて転がりだすまでにはならなかったが、見た感じ小さい水ヨーヨーが目の穴から垂れ下がっている感じになってしまった。
見た目が大変宜しくないが、戻してやる程の義理は無い。
もう一発殴って、既に逃げ去ったカズマに安堵しつつ俺はちっと舌打ちした。
ゾンビとミイラを殴るほど、フロアにすえた臭いが広がっていく。
まともな酸素なんてもう何処にも無い。
酸欠で閉じそうになる目蓋を無理矢理こじ開けながら、それでもパイプを振り回し続けていると、何と無く自分が機械になった気がしてくるが、そんな事に構ってはいられない。
細かい事を気にしていたら負けだ、ゾンビとミイラに、物理的に。
瞳はとうに暗さに慣れてしまい、梟も闇夜ではこんな気分なのかしら、という要らん感傷まで起こしてしまった。
こうも命の危険に曝されている訳ではないだろう梟が羨ましい。
代われ梟。
なんてやっぱり取り留めの無い事を考え、カズマを視界の端で探しながら、緑色に近い肌をしたミイラの鎖骨を粉砕してやる。
うん、やっぱり嫌な音。
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