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「田中くん、一緒に帰ろっ!」
「…おう」
俺がこの女子---篠山に付き纏われ始め、もう一ヶ月。
きっかけは、同じクラスになったその日だった。
「田中君、付き合って下さい!」
進級し、新しいクラスに変わったその日の放課後に篠山に告白された。
前髪で目は隠れてるものの、時折見れる顔は相当な美女との噂。
てか、俺みたいな不良に告白……こだわりの無い俺には断る理由も無かった。
「俺みたいな奴で良いなら、よろしくな」
その日は当然、途中まで一緒に帰った。
カップルになって三日後の朝、俺は珍しく篠山より早く教室に着いた。
「あっ、田中!私より早いなんて珍しいな!」
中学の頃から、特に仲が良かった三好。
女子テニスの朝練で、朝は確実に俺より早かった。
「私の予想だと、明日は雪かな?」
「アホか」
「ははっ!それじゃ、わたしゃ自分の席に戻るね」
相変わらずテンション高い奴だな。
いやまぁ、嫌いではないが。
「授業が終わるまで寝るか---ッ!?」
一瞬だけだが、背筋に悪寒が走った。
同時に視線も感じた。
「(誰だ……?)」
周りを見回したが、誰も俺のことを見てはいなかった。
「(……気のせいか?)」
視線のことは気になったが、人間の三大欲求の1つ睡眠欲には勝てなかった。
今日はまたもや珍しく、篠山が学校を休んだ。
次の日の昼休み、
「田中君、用があるから屋上まで来て…」
「???わ、分かった。すぐ行く」
その時の篠山は、妙に怖かった。
「用ってなんだ?」
「ねぇ…田中君---
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