短編その1

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「サッキノオンナ、ダレェ……?」 っ! 昨日の朝感じた同じ悪寒と視線、篠山だったのか。 前髪の隙間から見える瞳は、深く濁っていた。 「あ、あいつは中学の頃からのと、友達だ……」 「ホンとぉニ?」 「…お、おぅ」 「そう、よかった…」 本気で彼女のことが怖かった。 背中は脂汗でビショビショ。 「それじゃたなかくん、おべんとうたべよ?」 「……ぉぅ」 その後、なんとか弁当を食べ終わった。 隣を見ると篠山は何故かモジモジしていた。 「田中くん、大事なお話があるの」 「な、なに?」 さっきから俺はビビりっぱなしだ。 そりゃ、片手に果物ナイフを持ったままあんな顔をされるとさすがに怖い。 「私独り暮しでしょ?」 告白されたその日に教えてもらった。 「田中くんも独り暮しでしょ?」 両親は海外勤務でずっと返ってきていない。 「だから私、田中くんのお家に住むことにしたの」 「……は?」 「これからは、朝昼晩ずっと一緒だね」 「そして、ワタシはアナタを---」 ゼッタイ、離サナイ。
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