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「サッキノオンナ、ダレェ……?」
っ!
昨日の朝感じた同じ悪寒と視線、篠山だったのか。
前髪の隙間から見える瞳は、深く濁っていた。
「あ、あいつは中学の頃からのと、友達だ……」
「ホンとぉニ?」
「…お、おぅ」
「そう、よかった…」
本気で彼女のことが怖かった。
背中は脂汗でビショビショ。
「それじゃたなかくん、おべんとうたべよ?」
「……ぉぅ」
その後、なんとか弁当を食べ終わった。
隣を見ると篠山は何故かモジモジしていた。
「田中くん、大事なお話があるの」
「な、なに?」
さっきから俺はビビりっぱなしだ。
そりゃ、片手に果物ナイフを持ったままあんな顔をされるとさすがに怖い。
「私独り暮しでしょ?」
告白されたその日に教えてもらった。
「田中くんも独り暮しでしょ?」
両親は海外勤務でずっと返ってきていない。
「だから私、田中くんのお家に住むことにしたの」
「……は?」
「これからは、朝昼晩ずっと一緒だね」
「そして、ワタシはアナタを---」
ゼッタイ、離サナイ。
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