壱・悪夢の始まり

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俺の幼なじみであり親友である貴史が尋ねる。 すると吉田は弱々しいがはっきりした口調で言った。 「・・・・いつの間にか僕の机から教科書なくなっててさ・・・・ほら、僕の家って貧乏だろ?だからなかなか親に言い出せなくてさ。」 一同は沈黙した。 そしてその沈黙もまた貴史が破った。 「・・・じゃあどうして俺達に相談しねぇんだよ。」 「これは僕が悪いしさ・・・ヘヘッ。」 「馬鹿、あれを見てる方がよっぽど俺はウンザリすんだよ。テメェ頭がいかれてんじゃねーのか?」 後ろを見るとこのクラスでの明らかに悪の存在であり、この街の暴走族をまとめあげているという噂のある黒野がいた。 黒野が相手では誰も言い返せない。 「ゴッ、ゴメンなみんな。やっぱ迷惑だよな。」 「・・・馬鹿、心配すんなよ。教科書なら俺が金を貸しといてやるよ。」 貴史が言った。 貴史は小さい頃から弱い奴の味方ばかりしていた。 今も相変わらずだな。 「えっ、でも・・・。」 「気にすんなっての!そうだ!じゃあ今日一緒に買いに行こうぜ!」 「・・・・うんっ!!」
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