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ある朝
「頭領!森にモンスターが出ました」
「すぐに行く!村の武芸者を全員集めろ!私もすぐに行く」
「エルは家で待ってろ。父さんは必ず生きて帰ってくる。」
そう言うと父さんは走って行ってしまいました。
いつもはその言葉を信頼し、安心して父さんの帰りを待っていた僕だったが、今日は何か嫌な予感がしていた。
それから何時間経っても父さんは帰って来なかった。
翌日、村の武芸者に担がれて父さんは帰ってきた。
「頭領はモンスターにとどめをさした時にモンスターの毒にやられて……亡くなられました」
僕は一瞬何を言われたのか、理解できなかった。
村の武芸者は涙を必死になってこらえていたが涙が出ていた。
「父さん…………父さん!!約束しただろ!生きて帰ってくるって。父さん!!」
それから数日後
僕は毎日父さんの墓に訪れていた。
そんな僕の少し前に光る何かが浮いていた。僕はその光る何かをじっと見ていた。
すると、その光る何かが僕に近づいてきて
「私は、「フィーネ・グランド・アリ」この森の妖精よ。貴方、私が見えるの?」
「見えるよ。僕以外の人間には見えないの?フィーネさん」
「ええ。見えないわ。それと私のことは「フィン」と呼びなさい。」
そう言うとフィンは僕をじっと見始めた。何かを探るように。実際探ってはいた。
「貴方の名前は?」
「エルです」
「エル、数日前に家族を亡くしたでしょう。」
……図星だった。
「家族を取り戻したいと思ってるでしょ。」
これも図星だった。僕は密かに「父さんと優しかった母さんを生き返らせたい!」そう思っていた。
「それを叶える方法がひとつだけあるわ。」
「それは……この世界の何処かにある「願いを叶える鏡」フォルス・ミラーを使うのよ。そうすればエルの願いは叶うわ。」
「本当にそれで願いが叶うの?」
僕は目をキラキラさせてフィンに聞いた。フィンは少し退いていたが、なんとか答えられた。
「私も詳しいことは知らないけど…………叶れられる願いは5つだけ。5つ叶えたらふつうの鏡になるわ。」
フィンはそれ以来すっかり黙ってしまった。
僕は鏡がどんな形なのか?どんな大きさなのか?いろいろ聞きたかったけどフィンの表情から聞けなかった。
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