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『志野くん!とにかく、午後の補習には必ず出るように!!』
多少怒りの籠もった声で、電話が切られる。
「はぁ、ツいてない。」
そう言って、俺は自分の髪を見る。
俺の髪の色は、黒ではなく白。
別に、自己主張で染めている訳でもない。
生まれつき、髪の毛が白いのだ。
生活指導の教師から、それでも黒に染めろと言われるが染めようとは俺は思わない。
生まれつきなのだから仕方ないし、いちいち髪が伸びる度に黒に染めていたら金が馬鹿にならないからだ。
「人助けなんて、ガラにもない事するもんじゃないな。」
つい先日、俺は見るからに悪そうな三人組の男達から女の子を助けたのだ。
が、間が悪かった。
一応、話し合いの場は持ったものの失敗し喧嘩へと発展。
相手のパンチを避け、顔面に拳を叩き込み勝ったまでは良かったが、偶然にも通りかかった警官に捕まり学校側から三日の自宅謹慎処分を受け、休日に補習まで受ける事になってしまった。
憂鬱になりながら、窓から外を眺める。
外は、雲一つない青空のいい天気だった。
「いい天気だ。ゴールデンウイークは、この天気が続けばいいだがな。」
重い足取りで、シャワーを浴びるため脱衣場へと向かう。
これが、俺にとって今まで平穏に暮らしてきた日常の最後だった…
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