5月1日

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丘の上。 大きな夜空の下。 彼女はぽつんと座っていた。 「…」 その顔は、ひたすら空を向いていた。 …… 僕は勇気を出して話しかける。 「君は、空の向こうに何が見えているのかい?」 空気が振動し、彼女の耳まで届く。 …… 無音が続く。 何分たったかわからない。 僕は無言で返事を待つ。 いや、返事はもう期待していないのかもしれない。 ただ、この広い空の下で君と二人で夜空を眺めているだけで十分な気がした。 「この空の先には、大きな宇宙がある…」 「そして、その先には孤独になった星や、人々の夢が流れている…」 そこで話は止まり、また彼女は空を見続ける。
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