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「よっ、失恋少年」
「……それ、ニックネームで定着しそうだから止めて」
文化祭が終わり、いつも通りの日常が幕を開けたその朝……。
通学途中に、僕の一日を闇に落とすには十分な声が聞こえた。
「はい、悪かった悪かった」
「棒読みにも程があるよ」
彼……梶原広明とは、幼稚園の頃からの付き合いだ。
腐れ縁と言ってもいいかもしれない彼は、おそらく誰よりも僕のことを理解してくれているだろう。
「しっかしあれだな。お前の周り、黒いオーラ的なのが出てたぞ」
「出したくもなるよ……あ、それよりさ」
「ん?」
「広明は、妖精とか信じる?」
不意に先日のことを思い出し、広明に何気なく質問してみた。
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