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「……達也、気持ちは分かる」
広明は立ち止まると、僕の肩にポンと手を置いた。
「失恋のショックで、妖精さんが見えるようになったんだな。だがな達也、それは幻覚でグボッ!?」
全て言い終える前に、軽く鳩尾に一発くれてやった。
そのまま黙って歩き出すけど、立ち直ったらしくすぐ後ろから声が聞こえた。
「何すんだよ!」
「なんとなく」
「なんとなくで鳩尾に一発くれるなよ。ったく……んで、妖精が何だって?」
「何でもないよ」
まぁ……うん。
あれはきっと幻覚だ。
『失恋ぐらいで自殺すんじゃないわよ。ついでにその腑抜け面、どうにかしなさい』
っていうのも、幻聴のはずだ。
むしろ幻聴であってほしい。
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