始まり=メガネ

10/19
前へ
/26ページ
次へ
「いえ、どういうつもりだったのか、と言われましても……」 「……なぁ、心を読むの止めてくれない? 一々、思ってる事に全部、返答してたら話しが進まないでしょ?」 ごめんなさい、スルー出来ませんでした。 「あ、はい、それもそうですね。 分かりました。 以後、気をつけます」 「うむ、よろしい」 と、一人で古風な師匠気分を味わってみた。 特に得られるものも無かったので、話しを進めてもらう事にした。 「あの、そろそろ説明の方をしてもらっても、よろしいでしょうか?」 「あ、はい、 そうですね。では、説明の方をさせて頂きます」 ふぅ、と、彼女が気合いを入れるように息を吐く。 見ているこちらまで緊張してしまう。 「あなたには“幻想ゲーム”に参加して頂きます」 「幻想ゲーム?」 彼女の白い口から紡がれた、聞き覚えの無いゲームの名前。 その名前を、ほぼ反射的に復唱していた。 「このゲームは、他の参加者達と、バトルロワイヤル形式に戦っていって貰います」 バトルロワイヤル、戦い、等、俺にはほぼ関係性の無い単語が彼女の口から吐き出された。 「また、一般の方と、参加者の違いはこのメガネです」 右手が手の平を上にして上がり、そして胸辺りで静止した。 瞬間、その手の平の上に、少しの光が集まった。 その光は、瞬く間にメガネを形作り、そして、弾け飛ぶように光だけが消えた。 彼女の手の平の上には、メガネがあった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加