1人が本棚に入れています
本棚に追加
「いえ、どういうつもりだったのか、と言われましても……」
「……なぁ、心を読むの止めてくれない? 一々、思ってる事に全部、返答してたら話しが進まないでしょ?」
ごめんなさい、スルー出来ませんでした。
「あ、はい、それもそうですね。 分かりました。 以後、気をつけます」
「うむ、よろしい」
と、一人で古風な師匠気分を味わってみた。 特に得られるものも無かったので、話しを進めてもらう事にした。
「あの、そろそろ説明の方をしてもらっても、よろしいでしょうか?」
「あ、はい、 そうですね。では、説明の方をさせて頂きます」
ふぅ、と、彼女が気合いを入れるように息を吐く。
見ているこちらまで緊張してしまう。
「あなたには“幻想ゲーム”に参加して頂きます」
「幻想ゲーム?」
彼女の白い口から紡がれた、聞き覚えの無いゲームの名前。
その名前を、ほぼ反射的に復唱していた。
「このゲームは、他の参加者達と、バトルロワイヤル形式に戦っていって貰います」
バトルロワイヤル、戦い、等、俺にはほぼ関係性の無い単語が彼女の口から吐き出された。
「また、一般の方と、参加者の違いはこのメガネです」
右手が手の平を上にして上がり、そして胸辺りで静止した。
瞬間、その手の平の上に、少しの光が集まった。
その光は、瞬く間にメガネを形作り、そして、弾け飛ぶように光だけが消えた。
彼女の手の平の上には、メガネがあった。
最初のコメントを投稿しよう!